長谷川理事長インタビュー
- 2014/12/05
- 14:01

国際会議などの開催による経済効果は年間150~250億円
堀川まちづくりの会にも参加させていただいていますが、最初に私たち名古屋観光コンベンションビューローについて少しご紹介させていただきます。コンベンションは英語で「大会」あるいは「会議」という意味があり、具体的に言いますと、名古屋市で国内や海外の大会・会議を開催していただくための誘致を行うというのが私たちの主な役割です。また、国内外からの観光客誘致にも取り組んでおり、名古屋の魅力を世界にPR しています。さらに、イベントも実施しており、11月には『やっとかめ文化祭』の「歴史まち歩き」を実施し、この中で、堀川界隈のまち歩きを堀川まちづくりの会の会員の皆様のご協力をいただきながら実施しています。皆様には、当財団の事業に様々な形でご協力をいただいており、誠にありがとうございます。この場を借りて改めてお礼申し上げます。
さて、その中でコンベンションについては、現在、名古屋市では年間130から140ほどの国際会議が開かれていますが、その経済効果は150億円から250億円と算出されておりますので、私たちの役割も大変に重要だと思っています。
今一番力を入れていますのが、2017年の「ロボカップ世界大会」の名古屋開催です。もともと日本発の大会ですし、1997年の第1回は名古屋で開催されています。第21回20年目となる節目の大会だけに、ぜひ名古屋でと考えています。オリンピックと同様に、誘致競争で決まります。良い結果が出せるよう頑張っていますので、ご協力をお願いします。

名古屋駅前と栄の再開発でキーとなるのは中間にある堀川
堀川につきましては、名古屋城の築城とともに始まった400年の歴史、そして数々の物語をもつこと。貴重な都市河川であり、その親水空間としての可能性も見逃せません。また、市民が実際以上に遠距離に感じている名古屋港を身近に結ぶ南北軸としてなど、観光面からも非常に優れた素材であると思っています。
それ以上に、私が堀川が重要であると考えていますのは、スーパーターミナル構想が進められています「名古屋駅前エリア」と、商業と文化をテーマに再開発が進められている「栄エリア」、名古屋市発展の両輪ともいうべきこの二つの都心エリアが、それぞれに際立った独自性を発揮できる街づくりを成功させるキーとなるのが、名古屋駅前と栄を南北に分断している堀川の存在です。堀川とその沿川の伏見や納屋橋、円頓寺エリアが、堀川を中心にした街づくりを行えば、名古屋駅前と栄のエリアがはっきりと色分けされ、それぞれに独自の特色を持つ街のカラーを打ち出すことができるはずです。
堀川の街づくりといいますと、堀川だけに目を向けがちですが、名古屋駅前と栄の中間に位置するという場所としての役割も考慮することで、今までの堀川になかった新しい発想も生まれてくるのではないかと思っています。
親水空間としての堀川となるにはハード面での整備がもっと必要
先ほど「親水空間」としての堀川と言いましたが、現実的に堀川が親水空間としての役割、例えば「憩いをもたらす」とか「川として親しめる」といった条件を満たすには、もっともっと水質の良いきれいな流れになるとか、護岸の整備といったことも必要であると思います。そうした堀川のハード面の整備は、名古屋市さんに頑張っていただかなくてはなりません。また、名古屋市の中心部には花や緑が少ないので、堀川沿いに木を植えていただいて花や緑を楽しむようにすることもアイデアです。堀川の日置橋付近は、江戸時代の頃には花見の名所であったと聞いています。橋の下流にはまだ桜の木が残っているそうですが、話題になることもありません。桜の木をもっと増やして、かつてのような花見の名所を復活させることも、400年の歴史を持つ堀川ならではの強みです。
堀川まちづくりの会には、民産学官それぞれの団体や組織が参加されています。堀川のハード的なことは、「学」のお知恵をいただきながら名古屋市さんなどの「官」が積極的に進めていっていただければ良いかと思います。その場合、堀川全体を少しずつ整備して行くのではなく、ポイントを決め、そこを集中的に整備して成果を出すことです。
一つでも成功させると、それが波及効果をもたらして、次のことに取り掛かれる「弾み」がつきます。「水の整備は百年の計」なんて言いますが、そうした「小さな成功」を積み重ねていく工夫も大切でしょう。
民間の活力を上手に取り入れた横への広がりをもった展開も考える
ハード面の整備はそのような役割分担でいいかと思いますが、にぎわいをつくり出すとか、街としての魅力を引き出すといったソフト面の整備は、「民」と「産」つまり民間が中心になって行うことです。名古屋観光コンベンションビューローには民間を中心とした450ほどの賛助会員さんがおられまして、宿泊からイベント会社、観光施設、飲食まで多岐にわたっています。そうした方々が、例えば名古屋まつりのときには“なごやめし”のブースを出していただくとか、「旅まつり」というイベントではJR さんのウォーキングと連携していただくなど、民間の方々にお世話になっています。
堀川まちづくりの会でも、ソフト面に関しては「民間の活力」をうまく取り入れる、協力いただける体制を整えることではないかと思います。堀川に関しては、名古屋市民の皆さんを巻き込んでいく“横への展開”が欠かせませんし、そうした横への大きな広がりを実現できるのも、やはり民間の皆さんの力です。